脳腫瘍とは
兵庫県立こども病院脳神経外科・部長 長嶋 達也
脳腫瘍の診断法診断には症状から診断する臨床診断、様々な機器を用いる画像診断、腫瘍組織による病理診断と いう段階があります。画像診断で最も重要なものはMRIとCTスキャンです。MRIの最大の利点は、脳 を切る断面を自由に選べること、また、撮影条件を変えることにより、腫瘍の性質や脳との関係を明ら かにすることが出来る点にあります(図9)。また、MR血管撮影を行うことにより、苦痛を伴う脳血管撮 影を減らすことが可能になりました。しかし、撮影に時間がかかることから、小児ではかなり強い鎮静 が必要であるという問題があります。 脳血管撮影は、腫瘍を栄養する血管を明らかにすることにより、手術を行う上での重要な情報を 得ることが出来ます(図10)。腫瘍の種類によっては必要となります。私どもの施設では、観血的 検査である脳血管撮影は必要な場合のみに全身麻酔下で行なっています。 病理診断は、専門家以外の目に触れることはほとんどありませんが、脳腫瘍の治療において 極めて重要な位置を占めます(図11)。手術中に採取した組織を凍らせて診断する、術中迅速 診断と、永久標本を作製した後に、時間をかけて診断する方法の2種類有ります。 外科医は、術中迅速診断に基づいて腫瘍の摘出範囲を決定しますし、最終診断を待って化学 療法や放射線照射の要否を決定します。病理専門医は、集学的治療チームの中で極めて重 要な地位を占めています。 病理診断に必要な組織は、主として開頭による腫瘍摘出で得られ ますが、時に開頭手術が困難な部位に腫瘍が存在する場合があります。 このような場合には、定位脳手術(ていいのうしゅじゅつ、図12)や内視鏡により腫瘍の一部を 採取する生検(せいけん、バイオプシー)が行われます。 | |
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