小児脳腫瘍における化学療法の基礎知識
兵庫県立こども病院血液腫瘍科   小阪 嘉之

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まとめ 〜小児脳腫瘍の化学療法

以上のように、副作用が強い化学療法剤であるが、だからこそ専門家(腫瘍学を専門とする小児科医)による化学療法が望ましい。また、化学療法だけでは、いくら良く効くからといっても、脳腫瘍を完全に治癒させることは難しく、やはり、多くの症例では放射線療法も必要となってくる。結局は、放射線療法、化学療法で、お互いの足りないところを補い、かつお互いの副作用を最小にとどめる努力が必要になってくる。これらに手術の要素もからみ、これはとりもなおさず、冒頭に述べた、複数科による集学的治療の実践ということに他ならない。

最後に、新規の化学療法剤(テモゾロマイド、口から飲むタイプのもので、副作用は少ない。)や自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)を併用した超大量化学療法など新しい治療法も出てきているが、これについては別項にゆだねる。

以上、本項のまとめを下記に示す。適確な治療が行われた結果、一人でも多くの患者さんが、後遺症無く治癒されることを願ってやまない。

  1. 小児脳腫瘍の大部分は、脳神経外科、放射線科、病理、小児科による積極的な集学的治療の適応となる。
  2. 化学療法は放射線の照射量とその副作用を軽減することが可能である。
  3. しかし化学療法にも副作用は多く、その対策が必要である。
  4. 化学療法が特に有効なのは、髄芽腫(未分化神経外胚葉性腫瘍)、胚細胞腫瘍である。
  5. 脳腫瘍に有効な薬剤の条件のひとつに脳血流関門を通過しやすいことがあげられる。
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