上衣腫
大阪市立総合医療センター  北野 昌平

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上衣腫は脳室の近くに発生します

 上衣細胞(じょういさいぼう)は元来、脳の中の髄液を作る脳室という場所の表面を覆う細胞です。上衣腫(じょういしゅ)はこの細胞が腫瘍化したものですから、大脳半球の側脳室(そくのうしつ)の近くや第4脳室の周囲に発生することが多いのです。そのため腫瘍が大きくなると髄液の通過障害を起こしやすく、貯留した髄液によって脳室が拡大して水頭症を合併しやすいのです。水頭症になると頭蓋内の圧力が上昇して頭痛、嘔吐、意識障害を引き起こします。さらに進行すると貯留した髄液のために脳幹が圧迫され呼吸が止まり死亡する危険があります。腫瘍による髄液の通過障害が原因でおこる水頭症は一旦症状が出現すると急に進行することがあるので、緊急手術が必要なことが多いのです。
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