上衣腫
大阪市立総合医療センター 北野 昌平
上衣腫に対する取り組み上衣腫の治療成績は2002年までの報告では、腫瘍が再発しない状態で5年間過ごすことができる確率は、23〜43%とされています。残りは腫瘍を持ちながら生存している、もしくは腫瘍のために死亡していることになりますので、この腫瘍は決して治りやすいものとは言えません。再発した場合を含めて5年後に生存している確率は50〜64%と報告されています。この治療成績を左右する重要な項目を挙げます。初期治療の摘出の程度が全摘出またはそれに近いものは治療成績が良好といわれます。つぎに年齢が高いほど治療成績が良好で、3歳未満の治療成績は悪いと言われています。組織学的に悪性度の高いもの、発生場所が第4脳室底部のものは悪いとされています。放射線照射を加えた方が効果があるとされています。しかし、3歳未満の未熟な脳に放射線を当てると、照射線量の増加に比例して程度が重い知能障害が起こることが分かっています。このような副作用を考えると3歳未満の低年齢の上衣腫には化学治療をせざるを得ません。化学治療の薬剤は複数の種類の薬剤を使用する方法が主流です。腫瘍の増殖を抑制する効果があるという報告が出てきました。一方で抗癌剤には脱毛や白血球の減少などの副作用が必ずあります。現在、抗癌剤だけで治せるとは思われていませんので、腫瘍摘出や放射線を組み合わせて治療しています。 | |
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