グリオーマ
大阪市立総合医療センター小児脳神経外科   坂本 博昭

1 章  2 章  3 章  4 章  5 章  6 章 

脳腫瘍とは

 脳腫瘍とは頭の骨の内側に発生する腫瘍のことで、脳自体の内部にできる腫瘍と 脳の外側に発生するものがあります。その診断の手順は、患者の年齢、症状の進行 の仕方、診察した所見とCTやMRIなどの画像検査と呼ばれる検査の結果から、もっと も可能性の高い腫瘍を考えます(臨床診断)。しかし、同じような症状や画像検査の特 徴を持つ腫瘍でも、腫瘍の種類が異なったり、良性と悪性の腫瘍ではまったく治療法 やその治療効果が異なります。そこで、臨床診断を考えに入れて、手術などで摘出し た腫瘍の標本をいろいろの薬剤で染め分けて、顕微鏡で観察して診断(組織〔そしき〕 診断もしくは病理〔びょうり〕診断)を行います。この組織診断が最終的な腫瘍の診断と なり、今までの治療の効果の報告から最も有効な治療法を選択することになります。 このように、腫瘍の診断には標本を得ることが非常に大切です。脳腫瘍の手術の目的 としては、腫瘍を取り除き腫瘍細胞の数を減らすことと、標本を得て組織診断を正確に つけることです。

 腫瘍の細胞は脳腫瘍の元になる細胞に似た形をしていますので、それに合うように 腫瘍の名前がつけられています。組織診断では、腫瘍の細胞の数、形、並び方、腫瘍 の中にある血管や腫瘍内部の変化、腫瘍の周りへの腫瘍の広がり(浸潤)の状態など を見て腫瘍の診断をします。よく似た細胞の形や特徴を持っていても異なる腫瘍があり ますので、特有の薬品や物質に染まるかどうかで区別することも行って診断を間違わな いようにしていますが、なかなか判断が難しい場合もあります。また、摘出した標本が 腫瘍全体を代表していればよいのですが、そうでない場合は誤った診断をしてしまうこと になります。たとえば、悪性の腫瘍でも少し良性の腫瘍の性質を持った部分を標本として 取り出せば、良性と診断してしまうことがあり、またこの逆にこともあります。

 脳腫瘍と聞いて一番気になるのは良性か悪性かです。ほとんどは組織診断で腫瘍細 胞の増殖が激しいものを悪性とし、そうでないものを良性と判断します。

しかし、脳腫瘍の場合は、良性であると診断できても腫瘍がゆっくりと大きくなったり、 再発しやすい腫瘍があります。そのため、組織診断に加え、腫瘍の発生した場所、病気に なった年齢、病気の進行の速さなどを考慮して腫瘍の悪性、良性を判定しています。

TOP
化学・放射線療法
各疾患の解説と治療
臨床試験関連情報