髄芽腫とPNET
大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科部長   原 純一

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髄芽腫、PNETの病態

小脳と大脳を分けている膜を小脳テントと呼び、PNETはテントより上の部分に発生することが多く、このようなものをテント上PNETと呼ばれ、松果体や大脳などに発生することが多い。一方、髄芽腫はテント下に位置する小脳に発生し、特に小脳の中央に存在する小脳虫部に多く見られる。

全国統計で小児の髄芽腫は年間40例〜50例と言われているが、登録漏れの症例が多く、この倍の発生があるものと推察される。

発症 年齢10歳以下の子どもに多く、3、4歳が発症のピークであり、小児悪性脳腫瘍の中で最も多く、小脳腫瘍の40パーセントを占める。
転移  髄芽腫の最大の問題は転移しやすいことで、たとえ脊髄MRI検査や髄液検査で転移が発見されなくても、診断時点で全脳、脊髄など全中枢神経系にミクロレベルの転移が存在すると考えられる。4%の患者では、骨、骨髄などの中枢神経外にも転移がみられる。 全摘出は、小脳に発生したものは比較的容易であるが、完全摘出をしても転移をしやすいために摘出しただけでは治癒は得られない。しかし、胚細胞腫と並んで化学療法が極めて有効な脳腫瘍である。
予後因子  3歳未満で発症した患者や髄液や脊髄に転移がある患者はそれ以外の患者と比較して治癒を得にくい。このような予後不良因子を持つ患者はさらに強力な治療を必要とする。また、髄芽腫やテント下に発生したPNETに比較してテント上PNETも予後は劣る。これ以外に、かつては腫瘍の大きさ、手術でどの程度腫瘍が摘出できたかが予後因子として重要視されてきたが、有効な化学療法が行われるようになり、手術で取り残された腫瘍も化学療法で消えてしまうことも稀ではなくなったため、最近では重視されなくなってきている。

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