髄芽腫とPNET
大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科部長   原 純一

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標準的治療法の概説

前項で述べたように、髄芽腫/PNETではすべての患者で全中枢神経系への転移が存在するため、脊髄を含む全中枢神経系に対する治療が必要である。そのため、手術で腫瘍を摘出(または生検のみ)した後、化学療法と放射線治療が用いられる。放射線照射は腫瘍のあった場所(局所と呼ぶ)と全脳と全脊髄に行われる。局所へはたとえ全摘出がなしえたとしても照射が必要であり、通常55Gyを照射する。画像診断または髄液検査で転移がない場合は、全脳全脊髄への照射は予防照射と呼ばれ24Gyの線量が照射される。このような標準リスクの患者はシスプラチン、シクロフォスファミド、ビンクリスチンよりなる化学療法を約1年間行う。米国ではこの方法により70-80%の5年無進行生存率が得られている。一方、すでに脊髄や脳の他部位への転移が存在する高リスクの場合は、全脳脊髄への照射線量を最大量である36Gyが照射される。比較試験に基づいて決定された高リスクに対する標準的治療は未だ存在しないが、標準リスクと同様の化学療法が標準的と考えられます。米国では高リスク患者で50-60%の5年無進行生存率が得られている。

 発症時3歳未満では放射線による障害が強く出るため、放射線を全く用いない治療法が選択されることが一般的である。症例数が少なく、標準的治療は決定していない。しかし、最近、メソトレキセート大量療法に脳室内へ直接メソトレキセートを注入する方法や大量化学療法を併用する治療法で優れた治療成績が得られている。

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