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小児の頭蓋内上衣腫に対する外科的治療兵庫県立こども病院脳神経外科 長嶋 達也、河村淳史 1. はじめに 分化した脳室上衣細胞を起源として、原発性脳腫瘍の5-6%、小児脳腫瘍の6-8%を占める比較的稀な腫瘍である。
ほぼ半数が小児に発生し、特に10才までの小児に好発する。頭蓋内では第4脳室が最も多く(34.9%)、第3脳室、側脳室が続く。
第4脳室発生は小児に多い。髄液播種率が12%(Salazar)の報告もあるが、もっと低いとの議論も多く、著者らの経験では初発時に
播種していた例はない。局所性の緩徐な発育を示す腫瘍であり、再発も局所に限局することが多い(文献8)。
2. 上衣腫の予後決定因子 外科的治療の進歩と放射線照射によっても、5年生存率60-80%、10年生存率50%前後であり、長い目で見れば予後不良な腫瘍といえる(文献4、9、14)。 予後を決定する因子として発生母地、年令、組織学的悪性度、播種、摘出度等があげられている。若年者の予後の方が不良であり、
Pollackらによれば3才以下の5年生存率は22%、それ以上では75%と顕著な差が報告されている(文献9)。予後決定因子として最も重要で
あるのは腫瘍摘出度である。Robertosonらは残存腫瘍体積により生存率が大きく異なることを示している(文献10)。
術後残存腫瘍を認めない場合の10年平均生存率は75%(Pollack), 71%(Healey)とされる(文献2, 9)。
多くの報告では全摘出率35-50%とされるが、天幕上上衣腫の摘出率は天幕下上衣腫より高く、天幕上では64-85%、天幕下では23-40%と
報告されている(文献13)。第4脳室発生例の中でも側方発生例の予後が特に悪いことが指摘されている(文献4)。
第4脳室底の直下に存在する顔面神経核をはじめ多くの脳神経核の損傷による障害や、外側では下位脳神経や後下小脳動脈の損傷による障害を
恐れて全摘出がためらわれることが理由である。
3. 全摘出後の補助治療の要否について 1990-1997年、全摘出の10例(平均6才)が補助治療なしで経過観察され7例は再発無なく(48ヶ月)、再発3例の2例に再手術と放射線治療で
局所制御可能であったとの報告がある(文献3)。天幕上上衣腫で術後MRIにて残存を認めなければ、放射線治療を行わない選択もありうる。
下図は側脳室上衣腫の全摘後、放射線照射を行わずに再発を認めなかった例を示す。しかし、上衣腫は長い経過後に再発する場合も稀ではなく、
著者らは第4脳室上衣腫については放射線照射を基本としている。天幕上上衣腫の全摘後の放射線照射は、年令、発生部位、再発時の手術の難度等を
考慮して決定しなければならない。
4. 再発上衣腫の外科的治療 上衣腫の再発は局所に限局することが多く、再発時の治療における外科的治療の役割は大きいが、再発例の多くは第4脳室底、特に外側部に
発育するため摘出の困難度は増すと考えてよい。腫瘍サイズが小さいほど摘出手術は容易であり、定位的放射線治療の選択も可能である。
ある研究では11例の再発中7例(64%)は無症状で診断されている(文献11)。著者らは少なくとも3年間は3−6ヶ月ごとの経過観察MRI、
それ以降は毎年のMRIを行うことにより、小さくて無症状の段階で再発腫瘍を発見するようにしている。局所に限局した再発に対する治療も摘出術が
有効であり、再手術を繰り返すことにより長期の寛解が得られることも経験される(文献6)。一般に、再手術を繰り返すごとに再発までの期間が短く
なることが知られている。 再発上衣腫に対する定位的放射線治療(ガンマナイフ等)の有効性も報告されている。手術に比して合併症の発生率が低いことから
選択肢となりうるが、長期成績については知られていない(文献7)。 5. まとめ 小児の頭蓋内上衣腫の予後決定因子で最も重要であるのは腫瘍摘出度であることから、手術の基本戦略は可及的全摘出である。
第4脳室上衣腫の手術は重篤な神経合併症を生じやすいことから、経験と高度の技術を要する。 参考文献(1) Foreman NL et al: Second-look surgery for incompletely resected fourth
ventricle ependymomas: technical case report. Neurosurgery. 1997 Apr;40(4):856-60;
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