試験の概要
現在、髄芽腫(テント上PNET)は、手術、放射線、化学療法(抗がん剤による治療)を組み合わせて治療されています。しかし3歳に満たないお子さんは、脳が未成熟であるため、放射線治療によって重い障害を残してしまう可能性が高いと考えられます。ですから、放射線治療は極力避け、そのかわり複数の抗がん剤を組み合わせて、化学療法を強化するという治療戦略が行なわれています。その1つが、「大量化学療法」です。自分の造血幹細胞(すべての血液の元となる細胞)をあらかじめ凍結保存しておき、最大量の抗がん剤を投与した後に造血幹細胞を戻す(これを「自家造血幹細胞救援療法」といいます。)というものです。
通常の化学療法を数コースと、「大量化学療法」を1コース組み合わせるという治療が、各国で行われています。しかしながら、がんの進行を抑えることができる患者さんの割合はおよそ30−50%にとどまっており、より良い治療法をさらに模索する必要があります。
そこで我々は、新しい試みとして、通常の化学療法の後に「大量化学療法」を2回行うという治療法を考案しました。現在よく行われている治療法よりもさらに治療強度が強くなりますので、50%を超える患者さんのがんの進行を抑えることができると考えられます。