晩期障害って?

白血病と晩期障害

小児白血病の治療成績は、ものすごい進歩がみられ、病気が治った子どもが増えてきたよ。それにともない、治療が終わった後になって出てくる影響についてもだんだんとわかってきたんだ。晩期障害の主なものとして、成長障害、内分泌障害、中枢神経障害、心機能障害、肝機能障害、免疫機能障害、続発腫瘍(二次性がん)の発生などがあるよ。これらは必ず出てくるわけではなく、あくまでも可能性があるというものなんだけど、治療が終わった後も長期にわたって経過をみていく必要があるんだよ!

長期フォローアップシステムの構築

日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)の長期フォローアップ委員会が、長期フォローアップシステムの 構築に向けて準備を進めているよ!

目的

晩期障害の危険を早く察知して早く手が打てるようにするために絶対に必要な長期フォローアップをしていくには どういうシステムが必要かということを考える。

半年から2年間治療をして、治療終了時に、もし、「長期フォローアップをしていくよ」ということに関して同意がえられれば、同意書をもらって、その方が受けられた治療内容を総括して今後どのようなこと(二次がんとか)を注意していかないといけないか、どのくらいの頻度でどんな検査をしていかないといけないかきちんと計画を立てる。実際に受けた治療内容、あるいは病気がどんな病気だったかわかれば、今はどんな晩期障害がおこりやすいか、どんなことに注意していかないといけないか、かなりのところで予測できるので、その時点でちゃんと計画して、その計画に従って、きちんと検査などをしていって、長期フォローアップセンターとやりとりして、もし晩期障害の問題が発生したら、コンサルトを受けるなり、この部分に関してはどこが専門で詳しいかという情報を、常に提供しつつやはりCCSSのようにご本人からもこういうアンケートをもらいながら現実に晩期障害で困っておられる方はちゃんと治療が受けられるシステムがつくれたらいいなと考えているんだ。
白血病と晩期障害

センターのイメージ

今、臨床研究のデータセンターと治療機関、ここだけでやり取りをしているわけだけど、それに長期フォローアップセンターをつくって、この長期フォローアップセンターにちゃんとデータを蓄積しておいて、もし小児がん経験者とか家族の方が希望されれば、個人情報保護法があるから必ず同意を得た上でここに情報を保存しておいて、自分の情報はパスワードか何かを設定してちゃんと入手でき、なおかつ治療機関で、たとえば大阪で治療を受けられた方は大学生になって東京に出てこられるとか、就職して転勤でとか、いくらでもあると思うので、もし調子が悪くなったときに、大阪以外の病院、東京に住んでいて東京の病院にかかろうと思っても、今までどんな治療を受けたかわからないし、どんな病気だったかもはっきりわからないというような状態ではどこにかかっても相談はできないよね。しかし、こういうセンターがあれば、他の医療機関にかかった場合に、この方がパスワードを教えたりすることで、 その医療機関が情報を入手できる。あるいはこの方がちゃんとした治療内容を持っていて、その医療機関に提供して問題点がどこにあるのか早くみつけて対応ができる、それが晩期障害なのか、全然無関係な問題なのかを早く判断できる材料になるのではないかということで、長期フォローアップセンターのようなものをつくって、情報を(個人情報の問題があるので簡単ではないと思うけど)きちっとした形で集積できたら、少しは役に立つ状態ができるのかなと考えているんだよ。
白血病と晩期障害


長期フォローを規定するもの

治療、病気の状態、治療の内容、社会・経済的、心理的な患者情報を十分把握すると、今現在ではどのくらい晩期障害の危険性があるか、欧米のデータも含めてかなり蓄積しているのでだいだいわかるんだ。そこに晩期障害というのが問題であるとか、それが重要な問題であるとか受診の動機付けができて、周囲の理解もちゃんとあれば、患者さん側とか家族の要因は満たされるのではないかと思っているんだよ。あとは医療者側の問題で、医療側の問題としてはやはり治療している医師自身の危険性の認知が低い場合もあるし、マンパワーの問題もある。小児がんの治療をしている人たちは毎日忙しくて、とても5年後10年後ちゃんと親身にみてあげられるだけの時間がないという人も結構多いと思うんだ。だからマンパワーの問題は非常にあると思うし、あと一生懸命小児科の医師がやろうと思っても小児科だけでは解決できない問題がかなりあるんだよね。 産婦人科の問題とか泌尿器科の問題、あるいは心臓の問題とかいろいろあって、小児科だけではやろうと思ってもできない問題もあるので、他科との連携、あるいは他科の理解がいると思う。それ以外に臨床心理士とかソーシャルワーカーとかいろんなところのコメディカルの充実も必要だしね。医療側の、こういう引き受ける要因も満たされてなおかつ小児慢性特定疾患も含めた社会制度が整って、長期フォローアップシステムができれば、初めて小児がんの長期フォローアップが可能になってくるのではないかと考えているので、将来にわたってできるだけこの辺のシステムをつくっていきながら、やはり家族の方の理解を得つつ、良いシステムをつくっていけたらと思っているんだ。
白血病と晩期障害

※2005年12月開催のエスビューロー小児白血病講座
晩期障害:QOLの向上 愛媛大学小児科 石田 也寸志先生】の講義録を参照