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復学支援事業

日常生活復帰ニーズの高まり

近年の小児がん医療の進歩により小児がん患者の生存率も高まっており、小児がんで最も患者数が多い(全国約23,000人の小児がん患者の約三分の一を占めている2000年(財)がんの子供を守る会)小児白血病に至っては治療プロトコールの確立により7,8割の患者が治るようになった。このことから治療方法に関する情報もさることながら、日常生活復帰(特に復学など)への関心が高まっている。


入院による院内学級利用と学校転籍問題

平成17年度の経済産業省委託事業の復学ニーズ調査や患者家族ニーズ調査のグループディスカッションでも明らかになったが現行の制度上の問題点として、患児が入院して院内学級を利用する場合、元の学校から転籍(転校)する必要があるということである。このことは転籍の手続きが煩わしいこと(転籍に必要な手続きは、地域の自治体の違いや養護学校と病弱身体特殊学級の違いなどによって異なり、誰に手続きを聞いていいのか分からない、役所も不慣れで不愉快な思いをした、転校しないといけないのなら院内学級に入らない、などの声が聞かれている)に加えて、入院中に学校とのつながりが維持されない(つながりが断絶する)大きな原因になっている。具体的には以下のようなものがあげられている。

  • 入院中に学年が上がるとクラスに席がなくなる。(転校したのだから)
  • 担任の先生も転校したということで交流が疎遠になる。(転校したのでもう担任ではない)
  • 転校しているということで卒業時の文集に掲載が許可されない。 小児がん患児は学校に復帰し、クラスメイトの元へ戻ることを希望に、辛い治療に耐えようとするが、この学校転籍という制度によって患児は逆に疎外されることとなる。

患児に対する配慮や支援の程度は、担任教師の資質により格差がある。

入院中に学校やクラスメイトとのつながりを維持することや、復学後に病気への理解をもって適切な配慮ができることは、患児のQOLにとって極めて重要ではあるが、こうした配慮や支援ができるかどうかは現在のところ担任教諭の資質に任されている。上述のように「すでに転校したのだから」という理由で疎遠になることを正当化すれば担任のみならずクラスメイトとの交流も希薄なものになっていく。逆に「病気が治ってクラスに戻ってくるのだから」という観点で患児や家族に接し、学級通信やビデオレター、千羽鶴などを通じてつながりを維持することに努めれば、円滑な復学に向けての半分は達成できたことになる。どちらの関係を築くのかは保護者の働きかけもさることながら担任教師の資質によるところが大きいというのが現状である。


主治医や院内学級の教師と学校の連携は、重要だが不十分なケースも多い。

小児がんの子どもは退院しても1年以上にわたって抗がん剤の治療を続けることが多いが、退院してからクラスに戻る復学のタイミングにおいて、主治医から担任教師や学校管理職に「病気と治療に関する医学的な説明」、「入院中の患児の頑張り」、「学校で必要な配慮」などについて直接話してもらうことは患児にとっても担任教師にとっても非常に大切なことである。また、院内学級の教師から「学習の進行具合」や「患児の不安」、「学習が病状に及ぼす影響」などを伝えてもらうこともまた重要である。しかしながらこのような話し合いや連携の体制は必ずしも整っているわけではなく、患児を取り巻く関係者のうち誰かが強い意志と働きかけを行わない限り、実現されないことも多いというのが現状である。