孤立うつ防止事業

福祉医療機構より「ヒアリング評価結果」が届きました!


エスビューローでは平成25年度、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の社会福祉振興助成により「小児がんAYA世代の孤立うつ防止対策事業」を実施しましたが、このたび福祉医療機構よりヒアリング評価の結果が届きました。
事業全体の総合評価として「高く評価できる水準にある」(A評価)とご評価いただいたほか、"事業推進姿勢"と"事業実施プロセス"の項目では「非常に高く評価できる水準にある」(S評価)という評価をいただきました。総合所見は以下の通りです。

【総合所見】
当事者のつらい気持ちを真に察している意欲の高い団体であると見受けられた。
小児がん拠点病院と連携し、この分野においてモデル的に実施されており、行政や病院単体では担うことができない全国的にも先駆的な活動であり高く評価されるものである。また、成果物の完成度も高く、関係者の参考として広報していくことを推進していただきたい。
全国14ヶ所の小児がん拠点病院等でも意見が分かれると思われるが、この事業をきっかけに全国に拡散させていただくことを期待する。今年度の活動にも大いに期待したい。

エスビューローでは、平成26年度の「小児がん拠点病院でのセラピー的諸活動事業」をはじめ、今後も様々な取り組みを通じてよりよい支援ができるよう努めてまいります。なおエスビューローの活動にご賛同いただけましたら、今後も活動を継続していくためにご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

「小児がんAYA世代の孤立うつ防止対策事業」とは?

小児がん経験者の約半数には何らかの晩期合併症が見られ、仲間との間に疎外感を持つ傾向があります。たとえば米国の調査研究では、晩期合併症をもつ小児がん経験者は抑うつや自殺念慮に見舞われる傾向が強いということが報告されており、わが国における状況も同様であると考えられます。
こうしたことを背景として、AYA世代(15歳〜30歳)の小児がん経験者に対して、当事者同士が集い悩みを共有できる場を確保すること、家族をはじめ関係者がしっかりと彼らを見守り適切に対応することを目的に、「小児がんAYA世代の孤立うつ防止対策事業」を実施しました。
関係者に対しては、自殺を防ぐ「ゲートキーパー」の必要性を広く発信するとともに養成のための講習を開催。同時に当事者に対しては互いに繋がり悩みを分かち合える場を構築しました。

ゲートキーパー講習&車座キャラバン

全国4ヶ所(京都・名古屋・広島・東京)に1泊2日で出張し、1日目はゲートキーパー養成を目的とした講習、2日目は小児がん経験者の当事者が輪になって語り合う車座トークを実施することで関西の当事者と地域の当事者が交流する場を設けました。

孤立うつ防止事業

ゲートキーパー講習

講師 竹田伸子先生(大阪彩都心理センター)

<プログラム>
1.子どもの発達
2.ゲートキーパーとは
3.傾聴スキルのトレーニング
 (1)講義:傾聴のコツ(入門)
 (2)実習:傾聴スキルのトレーニング
(※詳しい内容はハンドブックにてお読みいただけます)


<お寄せいただいた感想>
  • 改めて、孤立化を防ぐこと、見守る人、耳を傾けてくれる人の存在の大切さがわかりました。
  • 講師の竹田先生の話もわかりやすく参考になった。
  • 実際に体験などができて、とてもわかりやすく、良い体験になりました。
  • 細かいところまでていねいに教えていただいて、よくわかりました。
  • 人数も適当な数だったので、全体の中でも話しやすくよかったです。
  • 人の気持ちに傾聴し、寄り添うことがとても大事であることを認識しなおしました。

車座トーク

関西の小児がん経験者2名とともに京都・名古屋・広島・東京の各都市に出向き、当事者同士が輪になって語り合いました。関西の当事者と各地の当事者が交流し、ひとりじゃないんだと実感できるネットワークを形成することが狙いです。
車座トークでは、各自話せる範囲で自分の病名や現在のことなどの自己紹介に始まり、「今一番気になっている問題」など、様々なテーマについて話し合いしました。

また京都・名古屋・広島の車座トークでは『ミルトンズ・シークレット』という本を取り上げて紹介しました。
ミルトンという少年がいじめにどう向き合っていったかを物語にした絵本で、解説を交えながら参加者で順番に朗読し、その後意見交換をしました。
<お寄せいただいた感想>
  • 同じ経験をした人と語り合えてとても楽しかった。
  • 普段心に秘めているようなことでも気軽に話せたように思います。
  • 親がいないところで同世代で語り合うことで、他の場では話せないことも話すことができてよかった。
  • 他県の情報や団体の情報を知ることができよかった。
  • 同じような経験をしてきた人たちと久しぶりに交流できてよかった。

「小児がんAYA世代の孤立うつ防止対策事業」報告書 ハンドブック編
〜孤立しない、孤立させないために〜

今回の活動が行われた背景となる理論や考え方をまとめたハンドブックを作成しました。
    〜目次〜
  • はじめに
  • 第1章 何が「うつ」をもたらすか?
  • 第2章 ことばと思考が悩みを増やす
  • 第3章 アクセプタンスとコミットメント
  • 第4章 価値と生きがい
  • 第5章 フランクルに学ぶ
  • 第6章 孤立うつを防ぐゲートキーパーの役割
  • 第7章 生きがいの場としての農園

相談スペースの整備

相談にのることができる具体的な場として、事務所の一角に相談スペースを整備しました。



NPO法人 エスビューロー  http://www.es-bureau.org/
問い合わせ先